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総合的な交通システムという意味で、自転車・徒歩といったものも同時に考えながら位置づけていくことが必要と思われます。
2点目の「モビリティ戦略とプライオリティの明確化」ですが、日本の政策は未だ都市交通政策という枠組みの中でどれを重視すべきか充分な合意形成ができていないのではないかと思われます。人・もの・車の動きを考えた場合、どの様な交通で車を遠慮してもらうのか、どれが本当に必要なのかという点について、明確かつ十分な議論がなされていないのではないでしょうか。政策を深める上でこれを明確にし、併せて交通空間を見直す、場合によっては一般車道の一部をバス専用にするといった様なことも必要かと思います。
3点目の「地域の参加と支援」ですが、公共交通問題は地域の課題ということもできます。その状況は地域により異なるということになると、それぞれの市民が参加した上で自分達の車をどの様に使っていくのか、自分達のモビリティをどの様に支えていくのか、というような議論が必要となり、バス・公共交通の位置づけもそれにより変わってくるのではないかと思います。こういった課題については、幾つかの市町村でコミュニテイバスとか、地域で支える様な公共交通のファンドをつくるとか、新しい動きがでているかと思います。いずれにしても、公共交通は一つの新しい社会的なインフラであるという認識でバス事業者だけに任せておくという種類のものではないということが一つの大きなポイントであると思います。
最後に「新しい魅力あるサービスの開発・試行・実施」ですが、バスには従来の様なサービスだけではなく、様々な新しい技術的可能性もあります、低公害バスや小型のバスを活用した様々なサービスの展開やITS等に代表されるインテリジェント化という面での技術開発が進展し、バスにもそれが適用されつつあるといったことなどを市民にアピールし、社会的な実験を行い、その中で必要なものを選択していくというような仕組みが是非必要ではないかと思います。
大変短い時間で雑駁な話だったかと思いますが、私の方からそういった形でバスについて幾つかの新しい可能性について提示しました。今後、こうした仕組みや取り組み等をどのように展開し定着させていくか、それぞれの地域が選んでいくという形で議論していくことが是非必要ではないかと思います。ありがとうございました。

 

 

 

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